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『歩く時に麻痺している足への荷重は沢山かけた方がいいの?かけない方がいいの?』

TC研究会 理学療法士の梅澤拓未です。

中国へ旅立ち約半年が過ぎました。

だいぶ生活には慣れました。

というより、むしろ日本より私は過ごしやすいかと感じています。

理由をいくつかあげますと、仕事面ではとにかくやりがいがあるということです!

中国は日本の約25倍の面積ですが、その中国全土(実際は全土とまではいっていませんがかなり遠方から来て下さる方も多いです)からわざわざリハビリを受けに来て下さいます。

その上、50分の料金は日本円に換算すると1万円以上の料金を払って頂いています。

料金のシステムについては追々お話しさせて頂ければと思いますが、基本的には4週間(週6回)で1日50分を2回(上肢と下肢)のリハビリを受けて頂いているので、患者様はリハビリ代として4週間で約50万円は負担しているということになります。

この責任は大変重いですし、結果を求められる環境です!

それが私にとってはやりがいがあり良いと感じています。

但し、実際には結果を出せずに患者様や会社に迷惑をかけていることもあります!

患者様に満足して頂けないわけですから料金も頂けず、ただ働きというわけです。

自分一人分ならまだしも営業や通訳の方も無駄働きにしてしまいますし、会社の名も汚すわけですから責任は重大です。そんな訳でまだまだまだ学ぶことが多くあります!

 

また、生活面では中国人の方はあまり周囲を気にしすぎないおおらかな性格な方が多い様に思います。私は日本では重要な“空気をよむ”ことが得意ではないので、中国にいると自然体でいられることが多いです。色々なことへの過剰な気遣いは必要ない感じです。

そして食も私には合いますし、とにかく物価が安いので、単純に生活がしやすいです。

私の中国での生活はここまでにして、現在の中国の脳卒中患者についてお話しさせて頂きます。

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日本の脳卒中患者数は数年前の調査になりますが29万人で、中国はといいますと200万人で約7倍となります。

その上、日本の様に医療制度は確立されていませんし、介護保険制度はもっての他です。

日本では脳卒中になったら病院に行き必要であれば必ずリハビリをするという形が近年の流れです。そして、必要であれば退院前から介護保険の申請をして、在宅でも介護やリハビリを受けることができるシステムになっています。

一方中国では、お金がなければ医療は受けられないですし、戸籍(生まれた時の場所などが決定因子になっている)によって行ける病院が異なってきます。

基本的には公的な補助は殆どなく、各家族でみていかなければならないというのが現状です。そんな理由もあり中国全体の医療やリハビリの質は遅れているというのが現状かと思われます。

何と言ってもそんな状況なので、我が社の社長も日本の川平法(促通反復療法)を受けに中国から日本に来たわけです。

 

本日はその川平法(促通反復療法)の歩行への考え方を述べていこうと思います。

皆さんは片麻痺の人の麻痺側への荷重についてどの様に考えていますか?

 

  • 麻痺側に強く荷重をしていく
  • 健側と同じくらい荷重がかけられるようにしていく
  • 良い方の足に荷重をしっかりとかけられるようにしていく
  • 麻痺側には全く荷重をかけない

 

結構 『麻痺側に体重をかけて』 と言っているセラピストがいると思います。

その結果患者さんはどの様な歩行になるでしょう!

麻痺側に荷重がかかりすぎると、対応することができず健側への重心移動がうまくできず、結果歩様の悪化、歩行速度の低下を招いてしまいます。

その為、川平法(促通反復療法)では③の良い方の足に荷重をしっかりとかけていくため 『よいほうの下肢でしっかり立って』 という声かけをしていきます

 

実際に現場で患者様をみていると麻痺側に荷重をかけすぎていることも問題ではありますが、そもそも健側でしっかりと立つことができている人がかなり少ないというのが実情ではないでしょうか。

健側でしっかりと立つことができていない状態で、麻痺側に荷重をかけることを促していけば結果どの様になってしまうかはわかりますよね。

両側ともうまく使えない状態になってしまいますよね。

簡便なテスト方法として “健側のみで少し高い台の上で立ってもらうこと” をしても良いと思います。

麻痺側の足が下がってきてしまうようでは、トレンデレブ徴候の可能性が高く健側の中殿筋などがしっかりと作用していないことになります。

 

それではどの様に 健側で立つ練習をしていけば良いのか?

 

片足立ち?  起立訓練?  バランスボード?  お尻上げ?  これらももちろん必要な時も多いでしょうし、それ以外もきりがないくらい練習方法があると思います!

 

実は川平法(促通反復療法)では、歩行中に徒手的に促通をしていきます!

 

中殿筋をタッピングしたり、骨盤の操作をしていきながら いい足でしっかりと立つことを促通していきます。スポーツをしている方はわかりやすいと思いますが、サッカーがうまくなりたい人が足の筋力だけつけてもうまくなりませんよね!

歩行も同様で、最終的には歩行の問題は歩行中に改善をしていくしかないということです!

 

結局この歩行中の促通が正確であれば何度も脳に良い信号が送られて、神経も筋も促通されていくわけです。

言い換えれば間違った歩き方をしていればずっと間違った神経回路が興奮し続けて強化していってしまうわけです。

脳卒中を発症したばかりの患者様をみることも難しいですが、何年も癖がついた歩行をしている人の歩行をかえていくことは更に難しいというのも頷けます。

川平法(促通反復療法)では歩行に限らず、間違った刺激を促通せず、必ず正確な刺激で促通をして脳に記憶させていくことが重要なわけです。

 

今回は歩行についてお話しさせてもらいましたが、もちろん歩行をする上で重要な個々の分離した運動などは、共同運動や痙縮の少ない臥位で促通をしていくことが必要なのは言うまでもありません。

中枢神経系は基本的に“やったことしか記憶しない”ので共同運動を分離して個々の運動をできるようにすることと、歩行のように複数の運動を組み合わせてできることは、区別して練習内容を考える必要はあるということです。

 

最後に会社の社長の記事が中国の地方新聞にのり、翻訳したものが川平ラボのHPに掲載されたので是非ご覧いただければ幸いです。

kawahira.org/informations/20180626101936/

本日もコラムをご覧いただき本当にありがとうございました。

 

 

※あくまでも考え方をわかりやすく説明させて頂いたため、本来は患者様のレベルや希望によって対応していくという事が最も重要なことだと考えます。

 

 

<引用文献>

川平 和美  下堂園 恵  野間 知一 : 片麻痺回復のための運動療法 促通反復療法「川平法」の理論と実際

 

 

【現場で使える整形外科的徒手検査法コラム①】〜学校で習うテスト法は意味がない!?〜

今回のコラムのポイント

・整形外科的徒手検査法とは何か?

・「陽性だと〇〇」「陰性だと〇〇」だけでは使い物にならない!?

・感度とは?特異度とは?

 

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このコラムは、学生、若手の治療家、トレーナーなどを対象に書いています。

 

ですが他にも、数字とかはどうも苦手で「統計学?ナニソレ」という方にも読んで欲しい内容です。

 

なぜなら、これから書く内容は、整形外科的徒手検査法にだけでなく、全てのコトに必要な考え方と知識だと感じているからです。

 

可能な限り、わかりやすく書いていくつもりですので、ご興味あれば是非お付き合いください。

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ある2人のスポーツトレーナーの会話を見てみましょう。

 

先輩

「さっき見てた、少し前に膝を捻ったって言う選手の評価はどうだった?」

 

後輩

「そうですね。関節内に少し腫脹がある感じがしたので、念のためラックマンテストとマックマレーテストをしてみたのですが、どちらも陰性だったので、ACLも半月板も大丈夫だと思うんですよね」

 

先輩

「う〜ん、本人の話を聞く限りだと、もう少し慎重に確認したいな。

特に、ラックマンテストは感度も高めのテスト法だから、陰性だったならとりあえずACL損傷の可能性は低いと考えても良いけど、マックマレーテストは、感度それほど高くないからね。」

 

後輩

「え?どういう事ですか?」

 

先輩

「マックマレーテストは、どちらかと言えば特異度が高いテスト法だから、陰性だからって半月板損傷が無いって考えるのは早計かも、ってこと」

 

後輩

「????」

 

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如何でしょうか?

 

この先輩トレーナが話している話の内容を

 

「うんうん、そだよな」

 

と、わかる人は、このコラムはとりわけ面白いものでは無いかもしれません。

 

ですが、この後輩トレーナーと同じく「????」という人にとっては、是非読んで欲しいです。

 

今回のコラムでは、この先輩トレーナーが言っている用語がわかるようになるコトが目標です。

 

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【整形外科的徒手検査法(以下:テスト法)とは何か?】

 

まずは、整形外科的徒手検査法とは何かを考えてみましょう。

 

整形外科的徒手検査法とは、

 

「主に整形外科分野で、徒手にて特定の組織に負荷をかける事により、診断の補助として使われる検査法」

 

の事です。

 

怪我の特定のために使われることもあることから、スペシャルテストとか、単に徒手検査と呼ばれることもあります。

 

定義として明確になっていない部分も多く、可動域検査、神経学的検査を含める場合もあれば、それとは明確に分ける場合もあります。

 

ですが、臨床や現場においては、この分類に大きな意味はありません。

 

あくまで、他の評価方法と上手く併用し、障害の特定や重症度の判定をする為のツールの1つです。

 

例えば『向原圭「医療面接」文光堂』では、

 

「きちんと病歴を聞けば86%の診断がつき、そこに身体所見を行うと6%情報が増し…」

 

などと書かれています。

 

つまり、問診、視診、触診などの他の所見があり、その上で整形外科的徒手検査法を行うことが大切だということです。

 

整形外科的徒手検査法は、整形外科で扱う疾患の多くに遭遇するコトが多い、柔道整復師、鍼灸師、スポーツトレーナーも「評価」の一環として活用するコトが多く、ただ単に教科書上の知識だけにしないコトが重要です。

 

これからは、大いに私的な見解も含めながらですが、この整形外科的徒手検査法を臨床や現場でどのように活用すれば、より有用なものになるのかの、個人的な考えを記していきたいと思います。

 

※以下、整形外科的徒手検査法を単にテスト法、徒手検査、またはスペシャルテストと記載します。

 

 

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【「陽性だと〇〇」「陰性だと〇〇」だけでは使い物にならない!?】

 

このコラムを読んで頂いている方は、どのような方が多いでしょうか。

 

理学療法士さん、柔道整復師さん、鍼灸師さん、スポーツトレーナーさん等でしょうか。

 

もしくは、今まさにそれを目指している学生の方でしょうか。

 

それぞれ、カリキュラムは違うと思いますが、そのカリキュラムのどこかでこの徒手検査法というものが出てくると思います。

 

私自身は、柔整、鍼灸、あマ指、ATのカリキュラムに関わったことしかなく、理学療法士さんの養成課程の内情は詳しくはわかりません。

 

ですが、養成課程で使用している教科書はよく目させて頂くので、徒手検査を扱っているカリキュラムもあるのだと思います。

 

 

それらの教科書の中では、大体、

 

 

 

「◯◯テスト」

→股関節を、写真のように動かして、痛みがあれば陽性。

※陽性の場合は「※※障害」を疑うコトができる。

 

 

と、いうように記載されていると思います。

 

1つ例をあげるのであれば、とても有名な「SLRテスト」。

 

これは、柔道整復師の教科書では

 

このように記されています。

 

 

 

 

 

 

このテスト法を、患者、選手、クライアントに使ったことはありますか?

 

そのとき、こんな疑問を持ったことはありませんか?

 

「あれ?SLRテストが陽性の場合は、ヘルニアのはずなのに、この人本当に腰椎椎間板ヘルニアかなぁ?」

 

 

そして、少し経験を積んでくると、こんな風に思いはしませんでしたか?

 

「徒手検査は、あまり当てにならないものもあるから、自分の経験で判断していくコトが大事だ」

 

 

また、私自身は、まだ新人だった頃に先輩にこう言われたことがあります。

 

「SLR testは、陽性になりやすいテスト法だから、これだけを信じてヘルニアと判断してはダメだ」

 

如何でしょうか?

 

同じような事を思ったり、言われた事がある方もいると思います。

 

 

さて、

 

これらは、半分正解ですが、半分は間違いです。

 

徒手検査法の中には、確かに、あまり当てにならないものも存在しています。

 

そして、自分の経験を積み重ねて、それを生かすことは、もちろん大切です。

 

ですが、徒手検査法を使いこなす時は、自分の経験だけでなく、ある事を知らなければいけません。

 

そして、そのある事は、何故か治療家、トレーナーの養成カリキュラムには登場してこないコトが殆どなのです。

 

 

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【感度とは?特異度とは?】

 

当時の私の先輩が言っていたように、テスト法の中には確かに

 

「陽性になりやすいもの」

 

があります。

 

また、その反対に

 

「陽性になりにくいもの」

 

も存在しています。

 

これは一体どういう事でしょうか?

 

この部分の理解こそが、数ある徒手検査法を、臨床や現場で使いこなす大きなポイントなのです。

 

 

 

 

徒手検査法を使う上で、絶対に知らなければいけないコト。

 

それは「信頼度」です。

 

 

身体所見やテスト法の信頼度は、主に

 

「感度」

「特異度」

と、いう言葉で表されてます。

 

感度は「実際に異常がある患者を検知する検査の能力を示す」用語です。

 

特異度は「実際には異常がない患者を感知する検査能力を示す」用語です。

 

 

これだけでは、難しいですよね。

 

一度で理解するのは、非常に大変だと思います。

 

今回はここまでです。

 

ですので、まず、コレだけはしっかりと記憶して頂けると幸いです。

 

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 整形外科徒手検査法は、診断の為の補助ツールであり、病歴で推測し、それに補足を加えるものである。

 徒手検査法には「陽性になりやすいもの」「なりにくいもの」が存在する。

 徒手検査法は信頼度という言葉で、その有用性が判断できる。

 信頼度には、主に感度と特異度というものがある。

以上です。
→次回は、この「感度と特異度」を、可能な限りわかりやすくご説明します!!
では、失礼します。

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参考書籍・小出良子 山口功「病歴を聞くと治療がわかる」医道の日本社 2009年 https://amzn.to/2NyHBYx
・向原圭「医療面接」文光堂 2006年 https://amzn.to/2PoOlZA
・JoshuaCleland「エビデンスに基づく整形外科徒手検査法」エルゼビア・ジャパン 2007年 https://amzn.to/2oqPtQX
・社団法人全国柔道整復学校協会「柔道整復学 理論編 改訂第4版」南江堂 2003年 https://amzn.to/2C562vy

 

コラム作成者プロフィール

 

 

 

 

 

内田 誠彦(うちだ なるひこ)
NSCA-CPT 鍼灸師・柔道整復師
千葉県内高校女子バレーボール部トレーナー
千葉県内高校サッカー部トレーナー
職歴
有限会社「ケッズグループ」
二和向台整形外科
和田整形外科
現職
葦-yoshi-代表

Facebookで約3万人のフォロワーを集める「スポーツ障害を動画で学ぶコミュニティー」の創設者

 

 

理学療法士 梅澤拓未先生の川平法コラム① 

TC研究会 理学療法士の梅澤拓未です。

 

 

 

 

 

 

 

 

中国へ旅立ち3か月半が過ぎました。現在、大変素晴らしい環境で中国人の脳卒中患者様に対してリハビリを実施させて頂いております。

 

この経験をTC研究会の皆様にお伝えして、少しでも皆様の仕事などに役立てられればと思います。そして海外での仕事・脳卒中について・川平法って何? などに興味を持たれている方もどうぞお読み頂ければ幸いです。

 

以前のコラムにのせましたが、もう一度簡単に私が中国で働くことになった経緯を話させて頂きます!

私の勤務先である 『悠康健康管理有限公司(www.yk-health.com/)』 の社長(30代女性)は数年前に脳卒中を発症しました。重い麻痺が残り、リハビリのため中国で良いと言われる沢山の病院を回りましたが効果がありませんでした。しかし、あきらめきれず日本で良いリハビリ方法があるということで、鹿児島県にある病院で『川平法』を受けました。

 

そして、今まで良くならなかった麻痺が回復していき、現在では中国の脳卒中患者のための会社を経営しています。

そんな社長が日本人のセラピストをさがしているという情報を耳にして、以前から中国に興味があった私には“自分にも何か役に立てることがあるのではないか”と大変興味が湧き、直ぐに中国に見学に行きました。既に二人の日本人セラピストがおり大変素晴らしいリハを行っているのを拝見しその場で就職の希望をしました。(現在私も含め4人のセラピストがいます) これが中国行きの簡単な経緯です。

 

 

今回のコラムでは、私の勤務先の社長の麻痺を改善させた『川平法』についてお話ししたいと思います。

 

川平法(促通反復療法)とは、鹿児島大学医学部名誉教授、促通反復療法研究所(川平先端リハラボ)所長の川平和美先生が開発した脳卒中片麻痺の治療法です。

 

『川平法は、促通手技によって随意運動を実現し、それを反復することによって随意運動を実現するために必要な神経路を再建/強化することを目的とした神経路強化的促通療法である。』  と述べられています。

 

川平法は、脳の可塑性を利用した運動学習です。脳は行った運動しか学習しない為、患者自身の随意運動が実現しやすいように促通によって助けます。そしてその実現した随意運動を反復することで、神経路を強化していきます。そうすることで患者がひとりで随意運動を実現できるようになることを目指していきます。

 

ちなみに脳卒中治療ガイドライン2015において促通反復療法はエビデンスレベルがグレードBで“行うように勧められる”治療方法となっている。

近年のガイドラインでは、科学的根拠が重要であり、以前から脳卒中患者に行われており教科書や授業でも出ていた治療法でもグレードがCで“信頼性・妥当性が不明確 科学的根拠がない”とされているものも出てきています。

 

このことは大変重要で、例えば 私が小学生の頃は サッカーの練習中は水は飲んではいけない や 野球の投球後は肩を冷やしてはいけない など何の科学的根拠もなく行われていたことがありました。グレードCというのは同じではありませんが極端に言うとこの状態に近いことになります。そしてこのエビデンスのグレードは大変しっかりと精査されているものです。

 

人の体を見ていく上で、エビデンスレベルの低いものを提供していくことは大変怖いことです。皆さんも今一度 自分達の行っている内容 について考えてみてはいかがでしょう。

 

それでは、川平法は実際にどの様に治療をすすめていくかというと、電気刺激や振動を併用使用し動かしにくくなったところに対して促通をしていきます。

促通に関しての特徴としては

・伸張反射や皮膚筋反射を利用 (本来体が持っている刺激に対する反応)

・1部位に対して100回程度の促通を行う

・口頭指示などにより意図した随意運動を促す

などがあります。

従来の治療法などとの違いとしては、患者さんが受動的でないことです。

現在でも治療などで関節や筋を伸ばす時間は長いと思いますが、川平法は基本的にストレッチと筋力強化を同時に行いながら神経にも促通をかけているため短時間で効果を発揮できます。

この辺はPNFとも同じような効果が考えられます。PNFとの違いとしては、手指や足部など抹消の麻痺に関してのアプローチ方法が多くあり脳卒中患者に適しています。

治療中患者さんは常に能動的かつ選択的な随意運動を行っており、イメージとしては大脳皮質の運動野の特定の場所に対して刺激を100回送り神経回路を強化しているという感じです。

麻痺や感覚障害で刺激が入力されづらい人に対して電気や振動で強い刺激を脳に送っていきます。

そのため、施術者も相手の反応を確実にキャッチしそれに対して狂いなく的確に刺激を100回送らなければ効果が出ないため、大変な集中力と技術が必要となります。

 

今回は川平法の概要を簡単に述べさせて頂きました。次回は具体的な部分や中国の健康産業・医療の状況についてお伝えしたいと思います。また、興味がある方は “悠康健康管理有限公司”を検索してみて下さい。中国語なので内容はわからないと思いますが、患者さんのビフォーアフター動画などもありますので、是非一度ご覧下さい。

 

本日もコラムを読んで頂きありがとうございました。

筋膜・ボディーワーク・ロルフィング®

TC研究会で今年も”ムーブメントを伴う筋膜へのアプローチ”を担当させてもらいます、ロルフィングプラクティショナー(ロルファー)の宮井です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のコラムのテーマは筋膜・ボディーワーク・ロルフィング®️です。

 

極々簡単にこの三者の関係を表すと、”ボディーワークの一種であるロルフィングは筋膜を扱います”ということになります。
では、まずボディーワークとは何かを見ていきましょう。

 

ボディーワークとは?

人間の健康を構成する三つ要素である”ボディー(身体)”、”マインド(精神)”、”スピリット(魂・霊性)”を互いにつながりがあるものと捉え、ボディーに対してワーク(働きかけ)し、他の二つの要素も含め全人間的に”Well-being(良い状態でいること)”をもたらすアプローチを指しています。

ロルフィングの他に、フェルデンクライスメソッド、アレクサンダーテクニーク、エサレンマッサージ、ヨガ、ピラティス、太極拳などが含まれるとされます。

スピリット(魂・霊性)なんて言うとオカルト臭く感じてしまう方もいるかも知れませんが、海外では”スピリチュアルフィットネス”という言葉を良く耳にするようになりましたし、世界保健機関(WHO )憲章にも提案された事があるなど無視できない概念になりつつあります。

ボディーワークと言う言葉が使われはじめたのは、1960年代にアメリカで起こった”人間性回復運動(主に心理学者を中心とした人間の潜在能力を探求しようという潮流)”の中心施設であった、カリフォルニアのエサレン研究所であったようです。当時そのエサレンの住人であったゲシュタルト療法の創始者 Fritz Perls が、ロルフィングを受けたところ、身体的にも精神的にも健康になったことに感銘しロルフィングをエサレンの活動に取り入れました。こんなエピソードからもロルフィングとボディーワークの関連性がうかがい知れます。

 

ロルフィングとは?

アメリカの生化学者アイダ・ロルフ(1896-1979)が考案した重力との調和をゴールに、筋膜をはじめとした結合組織に働きかけて、身体を統合するボディーワークです。

1940年代に筋膜にストレッチや圧を加えると組織が動くことに気づいたロルフ博士は「筋膜を本来あるべき位置に動かして身体のバランスを整える」ことを基本原理とし、自らの施術をStructural Integration(構造の統合)と呼び発展させ続けました。いつしか彼女から施術を受けることを”ロルフする”、つまり”Rolfing(ロルフィング)”と呼ばれるようになりました。

その後、ムーブメントや気付き・感じ方を重視する手法の導入により、より多様性を増したアプローチになってきています。

 

ロルフィングのセッション

一対一で行うロルフィングの個人セッションは、主に筋膜に対して徒手的にアプローチする”手技”、五感やイメージなどを用いる”知覚”、動きを用いる”ムーブメント”の三つを織り混ぜて行われます。

また、10回のセッションを通して全身をバランスするように組み立てられた”ベーシック10シリーズ”がロルフィングセッションの基本として存在し、初めてロルフィングを受けられる方には勧められています。

 

ロルフィングは治療ではない
世の中に数ある手技療法、医療機関や治療院で行う処置や施術とロルフィングの違いは何でしょうか? ここでは三つのパラダイムに分けて見ていきます。

第一パラダイム:治療意図のない純粋に安楽やリラックスを目的としたもの

第二パラダイム:外科的手術や矯正技法など特定の痛みや症状の除去を目的とする治療、処置など

第三パラダイム:心身を一つの存在として見なし、その統合を助ける全体論的なアプローチや身体教育など

とすると、ボディーワークであるロルフィングは第三パラダイムに属します。
例えば、膝の痛みを治してもらいたいというクライアントが来てもロルフィングでは直接膝を治しにかかることはありません。初期の段階でクライアントは痛みのある膝に注意が向いてしまうのは仕方のないことですが、全体を意識するロルフィングを体験する中で、他の部位へのアプローチで膝の症状に変化が生じることや、膝以外にも生き生きとした自分の体が存在していることに気付きはじめるはずです。自らの体の捉え方が変わる(パラダイムシフト)と行動や周囲の環境への認識が変化するかもしれません。痛みがあることで必要以上に減らしていた外出の機会が増えるかもしれませんし、どことなく楽しみ切れずにいた友人との一時を取り戻せるかもしれません。

このようにボディーワークであるロルフィングはボディーに働きかけることでマインドやスピリットにまで影響を与え、人生をより豊かなものに変えていける可能性を秘めていると感じています。

 

まとめ

すべての臓器・器官に浸透し人体をひとまとめにしている筋膜。その筋膜への働きかけが気付きを生み、自身や世界の捉え方が変わって行く。自分が変わると周りが変わる。そういった体験をする人が増えることで世の中が変わっていく。大袈裟かも知れませんが、そんなお手伝いができれば嬉しいなと密かに思っております。

 

 

専門家向け TC研究会コラム【筋膜にアプローチするとどうなるの!?】

TC研究会で今年も“ムーブメントを伴う筋膜へのアプローチ”を担当させてもらいます、ロルフィングプラクティショナー(ロルファー)の宮井です。

 

 

 

 

 

 

 

 

二回目のテーマは”筋膜にアプローチするとどうなるの!?”です。

 

 

 

 

 

 

 

 

実際、筋膜に徒手的にアプローチすると施術者は受け手側の体が”柔らかくなった”、”潤っている”、”通りが良い”、”動かしやすい”などと感じる事があります。対して受け手側からは”軽い”または”重い”、”存在感がある”、”大きくなった”、”スムーズに動かせる”などの感想が聞かれます。

 

では、この変化はどこからやって来るのでしょうか?体の中では何が起こっているのでしょうか?少し掘り下げていきましょう。

 

 

感覚器としての筋膜

 

筋膜内にはパチニ、ルフィニ、ゴルジ、自由神経終末といった感覚受容器が豊富に存在することが確認されており、筋膜は”最も重要な感覚器官”とも言われています。

 

徒手刺激などのアプローチにより筋膜内の受容器から中枢神経系、自律神経系に情報が伝達されると、そのフィードバックとして局所・全身の筋緊張、局所循環、筋膜内平滑筋の活動に変化が起こるとされています。

つまり、筋膜にアプローチすることで組織が柔らかくなったり、潤ったりしますよ、と言うことです。

 

また、筋膜へのアプローチによって受容器の活動が正常化すると疼痛が軽減する事もわかっています。

 

さらに、一部の受容器は内受容感覚の受容器として働きます。内受容感覚とは軽さや重さ、むずがゆさ、温感、空腹感、性的感覚、痛み、身体の所有感など体内をモニタリングする感覚を指し、情動とも関連する脳の島皮質に情報を投射します。受け手側がアプローチ後に感じる、軽さや重さ、時に得られる幸福感などははこの内受容感覚由来であることが考えられます。

 

オステオパシー創始者のA.T.スティルが”筋膜は脳の支店である”と述べたように、筋膜へのアプローチは筋膜だけにとどまらず、脳をはじめとした”神経系との語らい”と捉えることもできるのです。

 

 

細胞への働きかけ

 

神経系を介さない筋膜自体の変化も存在しています。

 

運動や徒手刺激によって筋膜が引っ張られると筋膜内の細胞が活性化し、細胞が作り出すコラーゲン線維の量に増減がおきたり、線維の向きや張力に変化がおこったりします。つまり組織損傷後の治癒過程やリモデリング、組織の厚みや密度、緊張に我々が行う徒手刺激が影響を与えることを意味しています。

損傷組織に無理に刺激を加えて無駄にコラーゲン線維を増やして瘢痕組織をつくってしまうような事は避けたいものです。

それにしても筋膜内の細胞に影響を与え、その振る舞いを変えてしまうと言うのですから興味深いものです。

 

 

徒手である意味

 

我々がセミナーで扱う筋膜へのアプローチは徒手で行います。では筋膜ローラーに代表される器具を使ったアプローチとの違いは何でしょうか?

端的に言えば、徒手は”効果器”であり”感覚器”でもある事と考えています。

アプローチ時に、触れた手(手とは限りませんが)は受け手の組織に影響を与える”効果器”となりますが、また同時にその手は組織の状態を感知する”感化器”の働きもします。施術者が”感覚器”から得られた情報を元に接触の深さや方向性を変えるとするなら、受け手の組織には新たな変化がもたらされ、「あっ、力が入っていた」「そこってそんなに硬かったんだ」などの”気付き”が受け手に生じやすくなります。その気付きが「力を抜いてみよう」「こっちに動いたらもっと柔らかくなるかも」といった衝動を生み、行動に移した時、受け手が受け手で無くなるのです。我々のセミナーで重要視する”受け手も参加する”、”共にワークする”と言うことです。

このような体を通した相互のやり取りが施術効果を高め、受け手が施術後に感じる”存在感がある”、”大きくなった”といったボディーイメージの変化につながるファクターになっていると考えています。

 

 

まとめ

 

今までに述べてきた変化が具体的にどの様な効果につながるかというと、

 

・痛みの改善

・組織灌流の促進

・スライド、グライド機能の回復

・可動域の改善

・関節と筋の動きの正常化

・モビリティ、スタビリティ、弾力性の回復

・組織の緊張の正常化

・過度な硬さ、緻密化、線維化の予防

・創傷治癒、リモデリングの促進

・手術後の癒着防止

・ボディースキーマ、ボディーイメージの改変

・姿勢の向上

 

などなど挙げればきりがありません。筋膜へのアプローチは数えきれないほどの可能性を秘めているのだと思います。

 

今後、自分のアプローチが受け手の脳や細胞に影響を与えると考えると、きっと触れ方も変わってくるのではないでしょうか?

 

専門家向け TC研究会コラム 【筋膜とは?】

TC研究会で 今年も”ムーブメントを伴う筋膜”へのアプローチを担当させてもらいます、ロルフィングプラクティショナー(ロルファー)の宮井です。

今や”筋肉を包む膜”や”全身を包むボディースーツ”といったイメージですっかりおなじみとなった”筋膜”を中心に”ボディーワーク”や”ロルフィング”について、数回に渡りコラムを連載していきます。

 

初回である今回は筋膜の基本的なところを確認してみます。さて、本当に筋膜は”筋肉を包む膜”、”全身を包むボディースーツ”なのでしょうか?

 

 

 

筋膜の語源

 

筋膜は英語でFASCIA と訳されています。FASCIA はラテン語で”帯、包帯、包まれている”を意味する Fascia を語源にしています。ですので、元来FASCIA (=筋膜) には”筋”や直接”膜”という意味はありません。

本邦では”FASCIA”を”筋膜”と訳すため、”筋肉の膜”というイメージが先行しいるように思います。

では、専門家は筋膜をどのように捉えているのでしょうか?

 

 

筋膜の定義

実は筋膜にはコンセンサスが得られるような明確な定義が確立されていないのです。それ故に混乱を招く原因にもなっているのが筋膜という用語の現状なようです。ここでは無数に発表されている筋膜の定義の中からいくつかご紹介していきます。

 

Steadmans Medical Dictionary 2006

皮下で身体を包む線維組織のシート。また、個々の筋や筋群を取り囲み、分ける各々の層や層のグループ。

 

Grays Anatomy 2008

肉眼で確認できる結合組織の集合体。その構造は様々だが、通常コラーゲンが織り込まれ、まれに腱や腱膜にみられるように平行で密に存在する。

 

Terminologia Anatomica 2011

鞘状、シート状、もしくは他の解剖可能な結合組織の集合体。筋肉の鞘だけでなく内臓の外層やそれに関連する解剖可能な部位を含んでいる。

 

などがあります。

 

ごく最近のものではSchleipらが筋膜は

 

“身体に浸透するコラーゲンを含む柔部組織であり、疎性もしくは密性の線維性結合組織の三次元連続体から構成されるシステム”

 

であると述べており、”腱、靭帯、関節包、神経上膜、髄膜、骨膜、筋内の結合組織”なども筋膜システムに含まれているとしています。

 

また、Standringも

“筋膜は科学的に明確な解剖学的表現というより、一般総称的な表現である”

 

と述べていることから、現在では筋膜とはある単一の組織を指すというより”結合組織の複合体”であり、膜その物というより”膜”、”ひも”、”網”などによる三次元的な組織システムと捉える流れのようです。

もっと簡単に言うと「膜だけでなく、様々な形でからだ全体に広がっていて、色々と役に立ってますよ」ということです。

 

 

身近になった筋膜

筋膜に着目してアプローチすることが馴染み深くなりつつある昨今ですが、長い間見逃されていた組織でもあるのです。というのも筋膜は”役に立たない邪魔な組織”として解剖の段階で骨や筋など他の組織を綺麗に取り出すために捨てられていたのです。また、その解剖をもとに作られた”美しい”解剖書で我々は学んでいたからです。

しかし、21世紀に入ると筋膜の重要性を示す研究発表が次々に行われ、筋膜は

“整形外科科学のシンデレラ”とも表現されるようになりました。

さらに、

書籍「アナトミートレイン」(トーマス・マイヤース)が発表されると施術家などの間でグッと筋膜への注目度が高まったように思います。。アナトミートレインでは筋膜のつながりを7つのラインで紹介し、漠然と感じていた、体のつながりを分かりやすく示してくくれています。

 

 

ここ数年はメディアでも頻繁に取り上げられた事から一般の方の認知度も飛躍的に高まったわけです。

 

まとめ

ここで紹介した筋膜は皆さんの筋膜像と同じだったでしょうか?

 

筋膜はボディースーツや筋肉を包む膜としてだけで無く、からだのすみずみにまで浸透し、臓器・筋・骨・神経を生命体として一まとまりに統合している、という観点が身体を扱う我々には必要だと感じます。

 

物事の捉え方やイメージが変わると、きっと患者さんやクライアントの見えかた、アプローチが変わってくるのではないかと思っています。

専門家向け TC研究会コラム【森をみて木をみる関節マニュアルアプローチ(JMA)】

TC研究会の藤森です。

 

今回は、クライアントさんを良い状態に導くアプローチ方法の1つ関節マニュアルアプローチについてお話します。

突然ですが、皆さんの前に、股関節の不具合で歩行動作が上手くできないクライアントさんが訪れました。

どんなアプローチをしますか?

・・・・・

股関節周りの筋肉が硬いからマッサージで緩めよう
股関節周りの筋肉が弱いからトレーニングで鍛えよう
アライメントが崩れているからストレッチポールで整えよう
使い方が悪いから歩く練習をしよう
などなど、皆さんのバックグラウンドによって、たくさんの解決策があるかと思います。

医療業界・フィットネス業界には様々なアプローチ法が存在しています。それぞれの考え方をベースに、その方法も徒手で行うものから道具を使うものまで多種多様です。
今あるアプローチ法は、先人の知識・創造・発想・ひらめきなどが生み出した産物です。
どれが良い悪いではなく、全て患者さんを良くしたいという共通の思いから発展してきた素晴らしい手段です。

そして、これら様々なアプローチ法は大きく分けて、全体へアプローチするか、局所へアプローチするかに分類されます。

患者さんをみていくことが前提ではありますが、局所(木)と全体(森)という視点は見逃せません。


これらも、どちらが良い悪いではなく、局所を考えながら全体をみる、全体を考えながら局所をみるといった相互の関連性が考慮できること(ミクロとマクロの視点)が大切になってくるでしょう。

人間は組織ごとに切り離せるものではないから、全体へのアプローチだけで良いという意見もありますが、局所アプローチの必要性も十分あります。

例えば、音楽(全体)は、一音一音(部分)分解して聴くものではありませんが、ある一音の印象が全体の調和を乱すことがあるでしょう。
音楽(全体)も単音(部分)の連なりによって成り立っていますので、ある一音が欠ければその音楽はその音楽として成り立たなくなります。ですから、部分へのアプローチも必要です。

同じように、股関節の不具合で歩行動作が上手くできない人に股関節の筋肉(局所)を緩ませることは歩行動作(全体)の改善にはなるかもしれませんし、
身体にとって効率的な歩行動作を学び、覚えることで、股関節(局所)の不具合が良くなり、歩行動作(全体)も改善されるかもしれません。

このような全体と局所の両面からのアプローチは、相乗効果が期待されます。

そして、関節マニュアルアプローチ(JMA)も効果的で有効な手段の1つになります。

関節マニュアルアプローチは、関節(骨と骨)を直接動かしていく技術になります。

先ほどの分類からすれば局所(関節)へのアプローチになりますが、骨の動きを伴った技術も用いるため、全体(動作)の要素へと発展させることを可能にします。

単に局所だけをみるのか、全体の中で局所をみるのか、似て非なるものです。

クライアントさんを良い方向へ導くアプローチ法の1つに、関節マニュアルアプローチ(JMA)を習得してみませんか。

 

トータルコンディショニング研究会

HP http://www.total-conditioning.com/

 

 

 

 

専門家向け TC研究会コラム 『認知症の中核症状と周辺症状について』

TC研究会、認知症ケア専門士の梅澤です。

 

今回で認知症については4回目の記事となります。前回は認知症の種類について、4大認知症とも言われている『アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症』を取り上げさせて頂きました。今回は認知症の中核症状と周辺症状について述べさせて頂きます。

周辺症状は“行動・心理症状” (BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)とも言われます。

認知症の種類によってこの中核症状と周辺症状の出現のしかたは異なり、詳細については専門書を参考にして頂き、ここではできるだけ認知症について初心者の方に向けわかりやすく説明させて頂きます。

 

中核症状とは、普段皆様が認知症のイメージとして持っている記憶障害や見当識障害(日時や場所の把握が困難)などのことで、脳実質の障害が原因で起こる症状です。

一方、周辺症状はというと 行動・心理症状(BPSD)とも言うくらいで行動面と心理面の問題であり、中核症状が元で二次的に出現する、徘徊・暴力・不安・妄想などの症状のことをさします。

例えば、中核症状である記憶障害のある患者様は、入院した時に病院にいるという記憶がないため“ここはどこなんだ”という不安が強くなり徘徊したり興奮したりという周辺症状が出現することが多く見られます。簡単ではありますが、まずはこれらの二つの症状があるということをご理解いただき、それぞれの現段階で一般的に行われている治療や対応方法をあげてみます。

 

まずは認知症の治療選択として薬物療法・ケア・リハビリテーションが挙げられ、それぞれ患者様の状態や認知症の種類などにより選択されます。進行してくれば全ての治療方法を併行しバランス良く行っていきます。それぞれの内容をとても簡単に説明しますと以下の様なものが挙げられます。(これらに対しても詳しくは専門書などを参考にして下さい)

<参考文献>

 

   <中核症状>          <周辺症状>   

<薬物療法>    ・認知機能改善薬         ・向精神薬

 

<ケア>      ・その人の立場になる    ・問題行動でなくその人の表現と解釈

 

<リハビリ>    ・五感(残存機能)をフル活用   ・役割や快刺激をサポート

 

簡単に書きましたが、最も大切なことは「その人を中心にした治療やケア」をしていくことです。

あたり前と言えばそれまでですが、これは裏を返せば認知症が痴呆(漢字の意味として愚かなどがある)と呼ばれていた時代は漢字の意味の通りの扱われ方が多くされていたということを忘れてはいけません。

また、医療の発展はあるものの完治ではなく、あくまでも進行を遅らせるのが現段階での限界ということも悲しくはありますが現実なのです。

 

それでも世界で類をみない認知症割合トップのこの日本で『私も認知症、あなたも認知症』という時代で楽しく幸せにすごせるような社会をみんなで協力してつくっていければと思います。

以上簡単ではありますが、認知症の中核症状と周辺症状についてとなります、最後までお読み頂き本当にありがとうございました。

 

トータルコンディショニング研究会

HP http://www.total-conditioning.com/

 

専門家向け TC研究会コラム【触診の重要性を考える】

TC研究会の梅澤です。

いつも記事を読んで頂き本当にありがとうございます。

 

 

今回は私が、“”なぜ触診の重要性を強く感じているのかということをお話しさせて頂きます。もちろんこれを読んで下さっている皆様は『触診は大事』だということは重々承知かと思います。

 

 

また、完全な触診技術ではなくとも触診によりクライエントの身体状況を把握し効果を体験した方は多いことでしょう。

 

そうなんです!

触診は大事・重要!!

ということはわかっているんです。

そして勉強もそれなりにしているとは思うんです。

しかし、現状の現場では触診の重要性ってどこまで高いと感じられているんでしょうか?!私はあまり高く思われていない様に感じます、現場では色々な状況が目に浮かびます。

 

そして、こんな声が聞こえてきます・・・・

『触診は大事だけど、すぐに効果が出る技術を修得したい!』

『多くの書類業務などがありすぎて中々勉強できない・・・』

『はっきり言って触診の技術がなくても何とかなっちゃう』

『勉強してもすぐ忘れちゃう』

『様々なクライエントの要望があり触診の勉強まで追い付かない』

 

もっとあるとは思いますが、こんなふうに思っている人は要注意です。

触診がしっかりできるといことがクライエントの要求に応える最重要課題または最低条件であると理解していないということだと思います。

 

また中には、クライエントの要求にそこまでこだわっていない ということも・・・

もっともこれを読んで下さっている方はそれはないと思います。

 

この様に触診の重要性が低下してきているような風潮は何も個人の問題が大きいわけではないのです。

現在科学の発展によりそれだけヒトの身体のことが解明され情報が多様化してきたことによりクライエントへ提供できる技術が格段に増加したことが大きな要因と考えられます。

 

つまり、触診の重要性の絶対値は変化していないが相対値が変化したということです。

 

但しそれをよく考えて現在の健康・医療などの業界をみてみると、ベテランの方で素晴らしいトレーナーや治療家の方々はまずは何年も触診をしっかりと勉強しそれを軸にクライエントに真摯に向かっており、その後に現在の様な多様化している様々な技術を取り入れたことにより本当の技術を取り入れてきたことがわかります。

 

これは何も触診だけに言える事ではないでしょう、本当に成功している人で基礎をおろそかにしている方は若い成功者であれ見たことがありません。

私もそうですが、直ぐに成功したいや簡単に何か手に入れたいという思いは人間である以上ある程度はしかたがないと思います。

 

しかし、そこでクライエントのことそして自分の将来のことを真剣に考えてみれば本当に必要なことが少しは見えてくるのではないでしょうか。

 

皆さん4月から新人としてや新人さんの教育、または新たな取り組みなど何かと業務が忙しかった3か月間であったと思いますが、だいぶ慣れて落ちついてきた方もいるかと思います。

 

是非今一度基礎にもどって触診を一緒に勉強してみませんか。

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梅澤先生が講師を務める

6月25日 新宿 10名限定 少人数制 触診勉強会 基礎講座 

テーマ:股関節周囲の触診

 

定員まで3名となりました!

詳細ページ⇒

http://okugawaseitai.sakura.ne.jp/lp/syokusin/

全ての徒手療法テクニックの土台となる

「解剖学」「触診」について

一緒に学びませんか!

奮ってご参加ください!

 

 

トータルコンディショニング研究会

HP http://www.total-conditioning.com/