理学療法士 梅澤拓未先生の川平法コラム① 

TC研究会 理学療法士の梅澤拓未です。

 

 

 

 

 

 

 

 

中国へ旅立ち3か月半が過ぎました。現在、大変素晴らしい環境で中国人の脳卒中患者様に対してリハビリを実施させて頂いております。

 

この経験をTC研究会の皆様にお伝えして、少しでも皆様の仕事などに役立てられればと思います。そして海外での仕事・脳卒中について・川平法って何? などに興味を持たれている方もどうぞお読み頂ければ幸いです。

 

以前のコラムにのせましたが、もう一度簡単に私が中国で働くことになった経緯を話させて頂きます!

私の勤務先である 『悠康健康管理有限公司(www.yk-health.com/)』 の社長(30代女性)は数年前に脳卒中を発症しました。重い麻痺が残り、リハビリのため中国で良いと言われる沢山の病院を回りましたが効果がありませんでした。しかし、あきらめきれず日本で良いリハビリ方法があるということで、鹿児島県にある病院で『川平法』を受けました。

 

そして、今まで良くならなかった麻痺が回復していき、現在では中国の脳卒中患者のための会社を経営しています。

そんな社長が日本人のセラピストをさがしているという情報を耳にして、以前から中国に興味があった私には“自分にも何か役に立てることがあるのではないか”と大変興味が湧き、直ぐに中国に見学に行きました。既に二人の日本人セラピストがおり大変素晴らしいリハを行っているのを拝見しその場で就職の希望をしました。(現在私も含め4人のセラピストがいます) これが中国行きの簡単な経緯です。

 

 

今回のコラムでは、私の勤務先の社長の麻痺を改善させた『川平法』についてお話ししたいと思います。

 

川平法(促通反復療法)とは、鹿児島大学医学部名誉教授、促通反復療法研究所(川平先端リハラボ)所長の川平和美先生が開発した脳卒中片麻痺の治療法です。

 

『川平法は、促通手技によって随意運動を実現し、それを反復することによって随意運動を実現するために必要な神経路を再建/強化することを目的とした神経路強化的促通療法である。』  と述べられています。

 

川平法は、脳の可塑性を利用した運動学習です。脳は行った運動しか学習しない為、患者自身の随意運動が実現しやすいように促通によって助けます。そしてその実現した随意運動を反復することで、神経路を強化していきます。そうすることで患者がひとりで随意運動を実現できるようになることを目指していきます。

 

ちなみに脳卒中治療ガイドライン2015において促通反復療法はエビデンスレベルがグレードBで“行うように勧められる”治療方法となっている。

近年のガイドラインでは、科学的根拠が重要であり、以前から脳卒中患者に行われており教科書や授業でも出ていた治療法でもグレードがCで“信頼性・妥当性が不明確 科学的根拠がない”とされているものも出てきています。

 

このことは大変重要で、例えば 私が小学生の頃は サッカーの練習中は水は飲んではいけない や 野球の投球後は肩を冷やしてはいけない など何の科学的根拠もなく行われていたことがありました。グレードCというのは同じではありませんが極端に言うとこの状態に近いことになります。そしてこのエビデンスのグレードは大変しっかりと精査されているものです。

 

人の体を見ていく上で、エビデンスレベルの低いものを提供していくことは大変怖いことです。皆さんも今一度 自分達の行っている内容 について考えてみてはいかがでしょう。

 

それでは、川平法は実際にどの様に治療をすすめていくかというと、電気刺激や振動を併用使用し動かしにくくなったところに対して促通をしていきます。

促通に関しての特徴としては

・伸張反射や皮膚筋反射を利用 (本来体が持っている刺激に対する反応)

・1部位に対して100回程度の促通を行う

・口頭指示などにより意図した随意運動を促す

などがあります。

従来の治療法などとの違いとしては、患者さんが受動的でないことです。

現在でも治療などで関節や筋を伸ばす時間は長いと思いますが、川平法は基本的にストレッチと筋力強化を同時に行いながら神経にも促通をかけているため短時間で効果を発揮できます。

この辺はPNFとも同じような効果が考えられます。PNFとの違いとしては、手指や足部など抹消の麻痺に関してのアプローチ方法が多くあり脳卒中患者に適しています。

治療中患者さんは常に能動的かつ選択的な随意運動を行っており、イメージとしては大脳皮質の運動野の特定の場所に対して刺激を100回送り神経回路を強化しているという感じです。

麻痺や感覚障害で刺激が入力されづらい人に対して電気や振動で強い刺激を脳に送っていきます。

そのため、施術者も相手の反応を確実にキャッチしそれに対して狂いなく的確に刺激を100回送らなければ効果が出ないため、大変な集中力と技術が必要となります。

 

今回は川平法の概要を簡単に述べさせて頂きました。次回は具体的な部分や中国の健康産業・医療の状況についてお伝えしたいと思います。また、興味がある方は “悠康健康管理有限公司”を検索してみて下さい。中国語なので内容はわからないと思いますが、患者さんのビフォーアフター動画などもありますので、是非一度ご覧下さい。

 

本日もコラムを読んで頂きありがとうございました。

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